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生物学実習

基礎生物学実験(後期 2×3単位)

本実験においては、生物科学における研究対象・材料のひろがりを経験することを主たる目標とする。個体・細胞・分子という広汎かつ異なったレベルの研究材料から最も基礎的なものを選んで解説および実験を行う。本実験は次のような内容を持つ3つコース(I.個体、II.細胞、III.分子)に分かれて順次行われる。なお,単位は各コースごとに与えられるので,1つもしくは2つのコースのみの履修もできる。

※ 顕微鏡の取り扱い方(2017年10月2日)
I. 個体(2017年10月3日〜10月下旬頃) 個体以上のレベルを対象にしており,動物では昆虫類から霊長類にいたるまでの多様な分類群を,植物では最も形態的多様性に富む被子植物を取り上げる。それぞれの分類群に精通した研究者が講義し,実習を指導することにより各分類群の諸特徴や取り扱い方などを理解することを目的とする。なお,個体コースを履修する学生は,顕微鏡の取り扱い方を必ず修得すること。

II. 細胞(2017年10月下旬〜11月下旬頃) 微生物・酵母・菌類・植物・培養細胞等の細胞を用いてそれらの観察および簡単な生理実験を行うことで、細胞の取り扱い方の基礎を学ぶ。なお、細胞コースを履修する学生は、顕微鏡の取り扱い方を必ず修得すること。

III. 分子(2017年12月上旬〜12月下旬頃) 微生物から核酸、タンパク質、脂質を抽出し簡単な分析を行うことで、これらの生体分子の取り扱いの基礎と基本的な性質について学ぶ。


※個体・細胞・分子の日程については、9月以降の掲示等を確認のこと。


生物学実習(通年)

実習期間を5つに分け、それぞれの期間に5つの課題を設ける。各課題はそれぞれ独立したものであり、最多5課題まで履修できる。以下に予約されている課題をあげる。また、各課題の内容に関しては、次表の次に記載している。

A 4月10日〜
5月11日
1.植物分子細胞生物学の基礎技術 嶋田,田村(謙)
2.細胞応答の分子基盤解析法 森(和),岡田,石川(時)
3.野外調査法(人類) 中川,中村
4.染色体の分子生物学 石川 , 三好, 定家
B 5月15日〜
6月8日
1.野外調査法(生態) 曽田,渡辺,石田
2.環境ストレスに対する生物の応答 秋山, 宇高
3.細胞シグナル伝達の分子生物学基礎 西田,日下部,宮田
4.古人類学における基本的技術 中務,森本
5.蛋白質構造研究の基礎技術 杤尾,土井,関山
C 6月12日〜
7月6日
1.動物の行動 沼田,森(哲)
2.植物の光応答とシグナル伝達 長谷,望月,鈴木
3.動物の発生:細胞分化と器官形成 高橋,佐藤,田所
4.情報変換分子の機能解析法 今元,山下
5.比較解剖(脊椎動物) 岡本
D 10月2日〜
10月26日
1.生態学 曽田,渡辺,川北,酒井
2.免疫生物学 高原
3.植物の分子遺伝学 鹿内,槻木,西村
4.神経生物学 平野,田川,田中(洋)
5. 細胞発生生物学 船山,越川
E 10月30日〜
11月30日
1.植物系統分類学の基礎的技術 田村(実), 布施
2.時間生物学の解析手法 小山,伊藤
3.生物学における計算機利用 高田,岩部
4.多細胞体構築を解析する分子遺伝学的アプローチ 上村,碓井,服部

A. 2017年4月10日〜5月11日

1.植物分子細胞生物学の基礎技術
優れた環境適応能力をもつ陸上植物の生き方を分子レベル・細胞レベルで理解するための多様な研究手法の基礎技術の習得を目指す。具体的には,DNAとタンパク質の基本操作,遺伝子の一過的発現,共焦点レーザー顕微鏡による細胞内オルガネラのイメージング,突然変異体の単離と解析方法などを学ぶ。
2.細胞応答の分子基盤解析法
分泌系タンパク質の高次構造形成の場である小胞体の機能を維持するために、真核細胞は実にダイナミックな細胞応答を示す。つまり小胞体から核へ情報を伝達して小胞体の恒常性維持に働く遺伝子を転写誘導する。この一連の応答の分子基盤を解析するための分子生物学的、細胞生物学的ならびに生化学的手法を学ぶ。
3.野外調査法(人類)
人類学における野外調査の方法に関する基本的な技術を修得する。実際に野猿公園でニホンザルを対象に,研究テーマや研究方法を自ら設定し,データを収集する。得られたデータを分析した結果に討論を加えて発表を行い,履修者全員で質疑応答を行う。最終的にはレポートにして提出する。
4.染色体の分子生物学
分裂酵母および培養細胞を用いて染色体末端テロメアの機能について学ぶ。細胞内のテロメラーゼ活性の測定や、テロメアDNA長、ChIP法や細胞染色法を用いたテロメア関連タンパク質の局在、テロメア関連タンパク質間の相互作用などの解析を行う。

B. 2017年5月15日〜6月8日

1.野外調査法(生態)
森林や河川などを対象にして野外調査を行い、生態学に関する基本的な技術や知識を学んで貰うものである。(生態学に関心のある者は本実習を履修することが望ましい。)
2. 環境ストレスに対する生物の応答
紫外線や温度,酸化剤など,種々のストレス条件下での細胞応答や防御機構を調べる。微生物,細胞,線虫,昆虫などを用いて,酸化防御因子の解析や個体レベルでの観察などを行う。
3.細胞シグナル伝達の分子生物学基礎
哺乳類培養細胞とアフリカツメガエルを用いて,細胞の増殖,分化及び発生を制御するシグナル伝達機構を解析するための基礎的手法を学ぶ。また,線虫を用いて,RNAiによる遺伝子ノックダウンなどの分子遺伝学の基礎を学ぶ。
4.古人類学における基本的技術
人類の起源・進化・変異に関する研究を化石や発掘人骨から行う上で必要となる基礎知識・技術について学ぶ。霊長類の骨格と歯の比較解剖学を学習した後,霊長類の解剖を通じて,それら硬組織と軟部組織との関連を学習する。
5.蛋白質構造研究の基礎技術
タンパク質の立体構造を決定するための試料調製,結晶化方法,X線解析データからの構造決定法を学ぶ。また,核磁気共鳴法を用いたタンパク質間相互作用解析についても基礎的な実習を行う。

C. 2017年6月12日〜7月6日

1.動物の行動
動物の行動の観察を野外や室内で行い、動物行動学調査の基本的な手法を学び、実践的経験を身に付ける。また、行動実験の立案や実施を自立的に行なうことによって、自ら研究計画を立てて、解析する能力を養う。
2.植物の光応答とシグナル伝達
シロイヌナズナの突然変異体や遺伝子導入植物などを用い、光応答の分子レベルでのシグナル伝達機構に関する実験を行う。また、これらの実験を通して、植物の生理を研究する上で基礎となる事項について学ぶ。
3.動物の発生:細胞分化と器官形成
 主にトリ胚やホヤ胚を材料にして,細胞分化や器官形成のしくみを研究するための基礎的解析方法について習得する。初期胚を構成する組織のあらましを理解し、現代的な胚の遺伝子操作法を学ぶことによって、それらがどのような発生メカニズムの理解に繋がるかを考察する。
4.情報変換分子の機能解析法
生体の情報変換に関与する蛋白質(受容体、G蛋白質・効果器酵素)について、光情報変換系を実験材料として分子レベルでの構造・機能解析のための基礎的手法を学ぶ。また、光受容体の生物物理学的性質の違いを調べ、高次機能(色覚や薄明視)との関連を考察する。
5.比較解剖(脊椎動物)
両生類、爬虫類、鳥類及び哺乳類の小型の動物を用い、主に骨格系と一部の筋肉系について、機能に注意しながら解剖を行う。

D. 2017年10月2日〜10月26日

1.生態学
動物の群集や個体群あるいは植物群落を対象に、生態学の基本的な考え方や調査技術を修得することを目的としている(受講希望者は、野外調査法(生態)を履修していることが望ましい)。
2.免疫生物学
免疫相当細胞の組織内分布、マクロファージの食作用、抗体産生細胞の増殖等に関する実験を行う。技術としてはマウスの免疫方法、細胞・血清の調製、免疫電気泳動、蛍光フローサイトメリー、ELISA法等を修得する。随時、分子免疫学の最近の話題も紹介する。
3.植物の分子遺伝学
シロイヌナズナ(アラビドプシス)とクラミドモナスの葉緑体機能,器官形成,母性遺伝に関する突然変異体を用いて,高等植物,藻類における様々な遺伝子制御システムを理解するための分子遺伝学,生理学,生化学の基礎的な解析法を習得する。
4.神経生物学
脳・神経系の機能を研究するための生理学的研究手法および脳組織の免疫染色法を学ぶ。静止電位,活動電位,シナプス電位,神経伝導,脊髄反射,イオンチャネルに関する電気生理学実験(細胞内電位測定・パッチクランプ法)・脳切片標本の作成と蛍光抗体染色を行う。実験結果についての発表会を行い,実験データおよび関連する事柄について議論する。
5.細胞発生生物学
カイメンを用いて,動物がどのようにして三次元形態を構築していくのか,観察・実験を行い,そのメカニズムを考察する。細胞レベルでの理解のための実験系,及びタイムラプス・ライブイメージングにより得られたデータの解析も行い,自分なりの問題点に対してデータを抽出,考察する。また,ショウジョウバエを用いて,発生遺伝学的な解析手法についても習得する。

E. 2017年10月30日〜11月30日

1.植物系統分類学の基礎的技術
高等植物の分類方法、及び大進化、種分化、集団分化機構などの解析に必要な資料の取りまとめ方、形態や分子マーカーを用いた解析技術の習得など。
2.時間生物学の解析手法
光合成生物の概日時計システムについて,その安全性,制御様式,生理学的役割などを解析・操作する手法を実験と理論両面から習得する。また,生物発光系の応用手法を学ぶ。
3.生物学における計算機利用
コンピュータプログラミングの簡単な演習を行った後,計算機による生体分子の構造解析および細胞システムの数理解析,あるいは遺伝子配列解析に関するいくつかの例題を実習する。
4.多細胞体構築を解析する分子遺伝学的アプローチ
多細胞構築の代表例として神経系と上皮を取り上げ,蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックフライなどを材料とし,神経回路の構造と活動や上皮ダイナミクスを解析するためのライブイメージングと光遺伝学的手法を学ぶ。