植物生理学

スタッフ

野田口 理孝

職位
教授
部屋
理学部2号館122号室
Phone
075-753-4138
Fax
075-753-4138
Email
notaguchi.michitaka.4k(at)kyoto-u.ac.jp

望月 伸悦

職位
助教
部屋
理学部2号館125号室
Phone
075-753-4138
Fax
075-753-4126
Email
mochizuki(at)physiol.bot.kyoto-u.ac.jp

鈴木 友美

職位
助教
部屋
理学部2号館125号室
Phone
075-753-4138
Fax
075-753-4126
Email
tomo(at)physiol.bot.kyoto-u.ac.jp

永原 史織

職位
助教
部屋
理学部2号館125号室
Phone
075-753-4138
Fax
075-753-4138
Email
nagahara.shiori.3n(at)kyoto-u.ac.jp

研究内容

植物は私たちの生命を支える根源的な存在です。本研究室では、植物が自然界で適応するために獲得した頑健で柔軟な生物様式を明らかにしていくことを目的に、環境情報の局所的な受容から、細胞内での情報伝達機構、さらには組織・個体レベルの全身シグナル伝達様式について研究します。最先端の細胞観察技術や独自のマイクロデバイスを扱いながら、“分子–細胞–組織–個体レベル”の研究を行い、植物が進化させた多様な生物システムの特徴を解明していきます。

1)植物の全身性シグナル伝達機構と適応戦略の研究
植物は生態系における多様な生物・非生物環境のもとで個体の適応度を高めるため、様々な環境応答システムを獲得してきました。それらシステムは、個体が受けた環境情報を局所的に応答するシステムと、個体内で情報交換するためのシステム(全身性シグナル伝達)に大別されます。全身性シグナル伝達は、篩管や道管といった維管束組織を介した植物ホルモン、small RNA、ペプチド、タンパク質等の分子送達で果たされていることが知られています。特に、陸上で繁殖圏を拡大した高等植物では、送達分子としてmRNAもまた個体内にて輸送され、その種類は他の送達分子に比べて圧倒的に多いことを私たちは明らかにしてきました。しかし、mRNAの輸送される生物学的な意義は未だに不明であり、私たちはその輸送の分子機構と生理機能を明らかにしようとしています。

2)接木の含む生物機構の研究
全身のシグナル伝達機構の研究では、分子の全身への輸送を接木という2つの植物をつなぐ方法で調べました。片側の植物の作る分子が、もう片側の植物に輸送され、情報が伝達して生理作用の変化が現れるかという実験です。この接木は、傷ついた組織を再生するという現象であり、細胞リプログラミングや細胞接着をはじめとする多細胞生物の本質的な生物プロセスを含みます。そのため、接木そのものが含む生物現象にも着目した研究を行っています。一般原則として、近縁な植物間でしか接木は成立せず、科が異なる遠縁な植物間では接木は不可能と考えられてきました。しかし、私たちはタバコ属植物を始めとするいくつかの植物種では、遠縁な植物の接木(異科接木)が可能であるということを世界で初めて発見しました。現在、分子遺伝学的解析、バイオインフォマティクス、顕微鏡やX線イメージング技術などを駆使して、この植物の接木が成立する仕組みの全容を明らかにしょうとしています。

3)植物のシンプラスト研究
高等植物では、細胞間、組織間、ひいては器官間の挙動の制御にシンプラズムの物理化学的な制御システムが重要であり、我々が注目しているmRNAによる全身性の情報伝達はこのシンプラズムを介していると考えられています。そこで、歴史的に困難であった植物のシンプラストを対象とし研究を開始することにしました。私たちは培養液中に浮遊して増殖するタバコ培養細胞(BY-2細胞)をトラップして、同一細胞を顕微鏡下で追跡観察できるマイクロデバイスを開発しました。このデバイスを使用して、細胞間の物質輸送を調節する因子の作用を調べ、原形質連絡による物質輸送のメカニズムを解明したいと考えています。