生体分子情報学

協力講座

京都大学化学研究所

スタッフ

柘植 知彦

職位
准教授
部屋
宇治キャンパス核酸情報解析棟5号室
Phone
0774-38-3263
Fax
0774-38-3259
Email
tsuge(at mark)scl.kyoto-u.ac.jp

加藤 真理子

職位
助教
部屋
宇治キャンパス核酸情報解析棟5号室
Phone
0774-38-3263
Fax
0774-38-3259
Email
kato(at mark)scl.kyoto-u.ac.jp

藤井 知実

職位
助教
部屋
宇治キャンパス本館N-236C号室
Phone
0774-38-3258
Fax
0774-38-3045
Email
fujii(at mark)scl.kyoto-u.ac.jp

研究内容

リン脂質シグナルによる植物細胞形態形成の制御機構

ホスホイノシチドなどのリン脂質は真核細胞における生体膜の主要構成成分であるだけでなく、特定の膜領域に局在することにより細胞内位置情報をもつシグナル分子としても機能します。伸長中の根毛や花粉管では、その先端の細胞膜にPI(4,5)P2が局在することによって先端成長が正に制御されています。また、シロイヌナズナの根端増殖細胞ではPI(4,5)P2が上端及び下端面の細胞膜に局在し、クラスリン依存性のエンドサイトシスを介してオーキシンの極性輸送に関わることが報告されています。
 シロイヌナズナにはPI(4,5)P2生成酵素であるPIP5Kが11の遺伝子にコードされています。我々の研究室では、それらPIP5K遺伝子のそれぞれに対して機能欠損型変異体を選抜し、それらの高次多重変異体を含む変異体の表現型を解析しています。植物における遺伝子機能の重複性はしばしば遺伝学的解析の障害となります。しかし、PIP5Kのように細胞の増殖・分化に必須な事象に関わる場合、多重変異体の組合せ次第で致命的な影響を及ぼさずに特定の現象における表現型を得られる可能性があります。動物や酵母の遺伝学的解析では捉えることができなかったリン脂質シグナルの新規機能の発見を期待しています。

mRNA代謝を介した植物の可塑性制御機構

可塑的な形づくりのモデルとして植物の光環境応答に着目しています。動植物が環境に応答するとき、COP9シグナロソーム(CSN)が転写因子の分解を制御する「量的な制御」を行なうことを示しました。一方CSNは、RNAのスプライシングやポリアデニル化を制御する因子と結合します。そこでRNAの選択的スプライシングと選択的ポリアデニル化とに着目して、CSNによる転写産物の「質的な制御」を解明しています。具体的には、変異体や形質転換植物を組み合わせ、解剖学、生化学、などの分子生物学的な手法を存分に活用する研究スタイルを実践しています。生物の形づくりの場で、ダイナミックで普遍性が高い分子メカニズムを紐解いています。

タンパク質分子構造に基づく環境適応戦略の解明

X線結晶構造解析の手法を用いて主にタンパク質分子の立体構造を決定し、その構造と機能・物性の関係について構造生物学的研究を行っています。主な研究テーマとして、酵素の基質認識様式および触媒反応機構の解明、高温または低温の極限環境下で生育する微生物由来タンパク質の環境適応戦略の解明を目指しています。